Web3ウォレットは種類が増え、「どれから始めればいいのか」で立ち止まる人が少なくありません。海外製は英語表記が中心で、国内の取引所系は口座開設が前提になりがちです。そこで注目したいのが、大阪・関西万博の公式ウォレットを前身に持つ国産アプリ「HashPort Wallet(ハッシュポートウォレット)」です。
この記事では、ウォレット選びで押さえたい5つの基準を先に整理し、そのうえでHashPort Walletが各基準にどう応えているのかを順番に確認していきます。比較の物差しを持っておくと、他のアプリを検討するときにも役立ちます。
HashPort Walletってどんなアプリ?
HashPort Walletは、株式会社HashPort(HashPort Inc.)が提供するスマートフォン向けのノンカストディアル型ウォレットです。ノンカストディアルとは、資産を動かすための鍵を会社ではなく利用者自身が管理する方式のこと。iOS・Androidの両方に対応し、ダウンロードは無料です。
前身は、2025年に約100万人が利用した「EXPO2025デジタルウォレット」。2025年10月31日に現在の名称へリニューアルされ、2026年4月時点で累計ダウンロード数は約115万に達したと紹介されています。国産ウォレットとして、日本語の画面とヘルプがそろっている点も選ばれる理由のひとつです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| アプリ名 | HashPort Wallet |
| 提供元 | HashPort Inc. |
| 対応OS | iOS / Android |
| 価格 | 無料 |
| 登録 | メールアドレス(本人確認書類の提出は不要) |
| 主な対応 | JPYC・USDC・Ponta連携・NFT/SBT・DeFi接続 |
| 評価 | App Store 3.8(約1,400件) |
ウォレット選びで見るべき5つの基準
本題に入る前に、選ぶときの物差しを5つに絞っておきます。
1. 始めやすさ:登録の手間、言語、画面の分かりやすさ 2. コストの軽さ:ガス代など、試すときにかかる費用 3. 日本円とのつながり:円建てで考えられるか、ポイントが使えるか 4. できることの広さ:対応チェーン、NFT、DeFi、支払い 5. 育っていく安心感:運営の実績とアップデートの頻度
以下、この順でHashPort Walletを見ていきます。
基準1:始めやすさ|メールアドレスと日本語で完結
登録に必要なのはメールアドレスと認証コード、そしてパスコードの設定だけです。本人確認書類の提出は求められず、インストールから数分でウォレットが用意できます。顔認証や指紋認証も設定でき、毎回パスワードを入力する手間を減らせます。
画面づくりも迷いにくく、トップで資産の合計とお知らせ、外部サービスへのショートカットを確認でき、画面下のメニューから「トークン」「ウォレット」「DApps」へ移動できます。1つのアカウントで複数のウォレットを作れるので、「日常用」「保管用」「お試し用」のように用途を分けて使えます。
万博アプリを使っていた人は、新規登録なしで最新版へアップデートするだけ。資産や、NFT・SBT(譲渡できない証明書型のトークン)の履歴がそのまま引き継がれます。

基準2:コストの軽さ|ガス代サポートで試しやすい
ウォレット初心者が最初につまずきやすいのが、ガス代(ブロックチェーンの手数料)です。送金の前にガス代用の通貨を準備しなければならず、それが面倒で先へ進めない人は多くいます。
HashPort Walletは、利用者の月間ガス代の一部をHashPortが負担するサポートを用意しています。少額の送金やスワップを、費用を気にしすぎずに体験できるのが利点です。さらに、外部接続先のKana Labsでは、HashPort Walletから使う場合にスワップ手数料が0円になる案内があります。
サポートの対象範囲や上限は時期や操作内容で変わることがあります。実行前の確認画面に手数料の見積もりが出るので、送信前にひと目見る習慣をつけると安心です。
基準3:日本円とのつながり|JPYC・Pontaポイントと相性が良い
ここがHashPort Walletの個性がもっとも出るところです。
- JPYC:日本円と1対1で連動するステーブルコイン。JPYC EXとはWalletConnectで接続でき、公式推奨ウォレットのひとつとして紹介されています。2026年7月には、アプリ内でJPYCの発行・償還ができるようになり、ウォレットの中で一連の操作が完結するようになりました。
- USDC:米ドルと連動するステーブルコイン。世界標準の規格に対応しています。
- Pontaポイント:2025年12月に「オンランプ」(ポイントをデジタル資産へ交換)と「オフランプ」(デジタル資産をau PAYギフトカードへ交換)が始まりました。お買い物で貯めたポイントの一部から、現金を入金せずに始められます。
積み立てライフ スタート支援など、Pontaポイントを使った利用者向けキャンペーンも随時行われています。ホームのバナーやお知らせを見ておくと、お得な企画を逃しにくくなります。
基準4:できることの広さ|チェーン・NFT・DeFi・支払い
対応チェーンは、Ethereum、Polygon、Base、BNB Chain、Avalanche、Arbitrum、Aptosなど主要どころ。ストアの掲載情報では500種類以上の通貨に対応しています。2026年6月16日からはビットコイン現物(BTC)の対応も始まりました。
「DApps」タブからは、スワップのKana Labs、レンディング(資産を預けて報酬を得る仕組み)のKilnなどへ接続できます。また、JPYCなどステーブルコインによる支払いにも対応しており、お好み焼専門店「千房」でステーブルコイン決済が体験できるなど、実店舗での実証も進んでいます。
NFT・SBTの管理機能も備わっており、万博の思い出を残すだけでなく、SBTを使った特典プログラムのような新しい使い道も出てきました。

基準5:育っていく安心感|実績とアップデート
安心感の材料は主に3つあります。
- 実績:万博で約100万人が使い、累計約115万ダウンロードという利用規模
- セキュリティ機能:パスコードに加え、生体認証で日々の管理をスムーズに
- アップデート頻度:ビットコイン対応、JPYC発行・償還、クレジットカードとの連携など、機能追加が続いている
公式サイトでは、HashPortカード(クリプトクレジットカード)や、三井住友トラストクラブとの連携などのお知らせも掲載されています。「Web3クイズ」は毎週更新され、30週目を迎えて学習コンテンツの「Web3 Labo」も公開されました。使いながら知識を増やせる導線がそろっています。

5基準のまとめ表
| 基準 | HashPort Walletの答え |
|---|---|
| 始めやすさ | メール登録のみ・日本語・KYC不要 |
| コストの軽さ | 月間ガス代の一部をサポート、Kana Labsでスワップ手数料0円の案内 |
| 日本円とのつながり | JPYC・USDC、Pontaオンランプ/オフランプ |
| できることの広さ | 主要チェーン、BTC対応、DeFi、NFT/SBT、決済 |
| 育っていく安心感 | 約115万DL、継続的な機能追加 |
お得に使い始めるための3ステップ
1. 少額のJPYCを受け取る:まずは受け取り画面でアドレスとQRコードを確認し、少額を受け取って反映の流れを覚えます。 2. Pontaポイントを交換してみる:貯まっているポイントの一部をオンランプで交換すると、現金を使わずに体験できます。 3. Kana Labsでスワップを試す:JPYCからUSDCなど、少額で交換の流れをつかみます。
慣れたら、Kilnのレンディング接続やWeb3クイズにも広げていくと、無理なくできることが増えます。
他のウォレットと並べて考えるときの目安
HashPort Walletを軸に、ほかの選択肢と比べるときの考え方も整理しておきます。
- 海外製の多機能ウォレット:対応範囲は広い一方、画面や案内が英語中心のことが多く、最初の1台としては慣れが必要です。日本語のサポートを重視するなら、国産のHashPort Walletが選びやすくなります。
- 取引所に付随するウォレット:口座開設と本人確認が前提になるのが一般的です。メールアドレスだけで始めたい場合は、HashPort Walletのほうが入口が軽くなります。
- 用途を絞った専用ウォレット:特定のチェーンやNFTに特化していて便利ですが、使い道を広げたくなったときに乗り換えが必要になることもあります。主要チェーンとDeFi接続を一台でまかなえる点は、長く使ううえで心強い要素です。
どれか一つに絞る必要はなく、「日常用はHashPort Wallet、特定の用途だけ別のウォレット」という使い分けも自然です。1つのアカウントで複数のウォレットを作れるので、まずはHashPort Wallet内で用途別に分けるところから始めるのも一案です。
1週間で慣れるためのモデルプラン
- 1〜2日目:インストールと登録、生体認証の設定。ホーム画面と3つのタブを眺めて、どこに何があるかを把握します。
- 3〜4日目:受け取り画面でアドレスとQRコードを確認し、少額のJPYCを受け取ります。残高が反映される流れを体験しましょう。
- 5日目:Pontaポイントのオンランプを試し、ポイントがデジタル資産に変わる様子を確認します。
- 6〜7日目:Web3クイズに挑戦して用語を学び、Kana Labsで少額のスワップを試します。
1日10分ほどで十分です。焦らず一つずつ試せば、1週間後には「何ができて、自分は何に使いたいか」がはっきりします。
安心して使うための習慣
- 公式ストアからインストールし、提供元が「HashPort Inc.」であることを確認する
- 最初の送金はごく少額で試し、問題なければ本番の額へ進む
- 送信ボタンを押す前に、宛先と使うチェーン(ネットワーク)の組み合わせを見直す
- パスコードやリカバリー情報は、他人に見られない場所に控える
- 外部サービス(DApps)に接続する際は、リンク元が公式かどうかを確認する
- 自動更新を有効にしておき、常に最新版で使う
こんな人にぴったり
- 万博のウォレットからそのまま使い続けたい人
- JPYCやUSDCで、送金や支払いを試してみたい人
- Pontaポイントやau PAYを、Web3への入口として活用したい人
- ガス代の準備が面倒で、一歩を踏み出せていなかった人
- 日本語で学べる国内企業のウォレットを探している人
よくある質問
Q. 本人確認は必要ですか? A. 新規登録はメールアドレスのみで進められます。ただし、JPYC EXなど外部サービスを使う際は、そちらの手続きが必要な場合があります。
Q. 万博アプリからの移行に手続きは必要ですか? A. アップデートしてログインするだけで、資産や履歴が引き継がれます。
Q. 利用料はかかりますか? A. ダウンロードと利用は無料です。ブロックチェーン操作ではガス代などが発生することがありますが、月間ガス代の一部はサポートされます。
Q. iPhoneでもAndroidでも使えますか? A. どちらにも対応しています。
Q. 元本は保証されますか? A. 保証されません。価格変動やサービスの仕組み上のリスクを伴うため、余裕資金の範囲で、内容を理解してから利用してください。
まとめ
ウォレット選びは、始めやすさ・コスト・日本円との相性・機能の幅・安心感の5点で見ると整理しやすくなります。HashPort Walletは、メール登録と日本語で始められ、ガス代サポートやJPYC・Pontaポイントとの連携で「最初の一歩」を軽くしてくれる、バランスの良い国産ウォレットです。
気になったら、まずはインストールして、ホーム画面を眺めるところから。少額のJPYC受け取りやポイント交換で、自分に合うかどうかを確かめてみてください。

